物流コストの内訳は見えていますか? 目に見えにくいコストも把握して行う物流コストの見直し方法
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昨今のエネルギー費用の高騰に加え、人口減少や求人倍率上昇による人材獲得競争の激化など、企業を取り巻く経営環境は一層厳しさを増しています。
食品・生活用品といった身近なところでも値上げラッシュとなり、我々物流倉庫業界も多分に漏れません。
「2024年問題」「2030年問題」など、物流業界を取り巻く環境や社会情勢の変化により、物流コストの考え方そのものが大きく変わろうとしています。
今回は、その物流コストの内訳について改めて整理し、
【目に見える物流コスト】だけでなく、【目に見えにくい物流コスト】にも焦点を当てて解説します。
「物流コストの見直しを検討している方」
「自社物流を行っている企業の方」
にとって、少しでも参考になれば幸いです。
目次
4.物流コストを見直すポイント~倉庫会社だから見える”裏側”にある目に見えにくい物流コスト~
1.物流コストとは
物流コストとは、経済活動において「モノを動かすためにかかる費用」の総称です。
実に様々なコストがあり、例えば
・商品が工場や倉庫から消費者に届くまでに生じるコスト
・原材料を工場へ納入するための輸送コスト
・倉庫での保管や荷役にかかるコスト
などが物流コストに当たります。
(社)日本ロジスティクスシステム協会が行った2024年度調査の結果では、
売上高に対する物流コストの比率は全業種平均で5.4%と報告されています。
もちろん、業界や取扱商品によって比率は変わってきます。
物流コストは大きく分けて、
「目に見えやすいコスト」と「目に見えにくいコスト」
の2種類があります。
次章から、それぞれの特徴を見ていきます。
2.物流コストの内訳 ~目に見える物流コスト~
2024年度調査の結果では、全業種平均の物流コスト内訳は以下の通りです。

業種・業態による差はあるものの、輸送コスト・荷役コスト・保管コストが主要な物流コストと言えます。
1)輸送コスト
チャーター車両費、宅配便の発送料、自社トラックの燃料費や減価償却費などが該当します。
物流コストの中でも特にイメージしやすく、最も目に見えやすいコストです。
2)荷役コスト
倉庫(委託倉庫会社)での入出庫作業、仕分け作業に対して発生する費用です。
課金方法には主に次の2種類です。
① 作業量課金 (例:商品1個あたり@XX円×作業数量)
② 作業時間課金 (例:1時間あたり@XXXX円×作業時間)
いずれも数量や時間が基準となるため、比較的目に見えやすい物流コストです。
3)保管コスト
保管コストとは、商品を納品するまでの間、倉庫などで保管し、品質や数量を維持するための費用です。
自社倉庫の場合は、家賃や管理費、火災保険などが該当し、固定費として認識されやすいコストです。
一方、外部倉庫を利用する場合は、倉庫立地や保管形態、保管環境、使用スペース、使用期間などにより、コスト差が大きくなります。
外部倉庫では保管管理料という形で、
・商品単位での課金
・棚、パレット、坪、㎡単位での課金
など変動費性が一般的ですが、倉庫一棟借りなど固定費となるケースもあります。
3.物流コストが高騰する主な要因
2024年度調査では、物流コストの値上げ要請を受けた企業の割合は91.7%にのぼり、
その内訳は「輸送コスト」「荷役コスト」、「保管コスト」の順となっています。
1)2024年問題とドライバー不足
2024年4月の働き方改革関連法施行により、ドライバーの時間外労働に上限が設けられました。これに慢性的なドライバー不足が重なり、輸送能力の低下とコスト上昇が発生しています。
2)人件費上昇と2030年問題
最低賃金は年々上昇しており、東京都では2025年時点で2020年比213円の上昇となっています。今後は「2030年問題」(総人口・生産年齢人口の減少と高齢者割合の増加)により、さらなる人手不足が懸念されています。
日本ロジスティクスシステム協会による 『IoT、ビッグデータ、人工知能の進展による2030年の物流ビジョン 報告書』 でも、今後人手不足がますます顕著になると想定されています。
一方では、AIの進化、DX化、ロボティクス化などにより、人材余剰となるという予想もあります。
いずれにせよ環境変化に備えたシステム投資等が必要となり、短期的にはコスト増が避けられない状況です。
3)エネルギー価格の高騰
昨今の電気料金をはじめとするエネルギー価格の上昇は、自社倉庫・外部倉庫を問わず、保管料や管理費に反映されています。
このように、物流コストの高騰は外部要因が大きく、個社努力でコストを下げるのは難しい状況です。
4.物流コストを見直すポイント ~倉庫会社だから見える”裏側”にある目に見えにくいコスト~
物流倉庫会社として多くの荷主企業様の物流に関わる中で感じるのは、
表には出てこない「調整時間」や「工数」が常に発生しているという点です。
自社物流編
自社で物流業務を対応すれば外部に支払う費用は【0円】です。
お客様からも「予算が無いから自分たちでやります」「少しでも利益を残したいから外注できません」という声を実際にお聞きします。
長年にわたり自社物流をおこなっている企業様ほど、そのような声を聞くことが多いかもしれません。
しかしこの【0円】の中にも、目に見えにくい物流コストは隠れています。
物流業務には「場所」と「人」が必要で、そこには必ず費用が発生しています。
自社物流の場合は「家賃」「水道光熱費」「人件費」が費用となり、その中でも特に見えにくいのが人件費=時間コストです。

ここでもう一つ気を付けなければならないことがあります。
それは生産性です。
何かしらの作業を外部に委託する場合は、1作業=XX円という単価見積りとなるケースが多いですが、自社物流の場合は、月給(パートさんは時給)という固定費となります。
社員なので気を抜かずに一生懸命作業をしていると思いますが、仮に、体調が優れないなどの要因でダラダラとした作業になってしまったら、生産性が落ちてしまうので作業単価がアップしてしまいます。

これもまた目に見えにくい物流コストに反映されます。
確かに、外に出ていくお金はないように見えますが、その作業にかかる時間が物流コストになっているということを理解いただければと思います。
外部倉庫編
外部委託する際には必ず御見積書があるので、自社物流と比較すると明らかに目に見えやすい物流コストとなります。保管管理案件であれば、1ヶ月や年間の物流コストのシミュレーションも確認することもあります。
ただし、外部委託している業務の中にも、目に見えにくい物流コストがあり、それは業務フローの中に存在しています。

これらは請求書には表れませんが、作業時間というコストが発生しています。
「今までがそうだったから」という慣習の中に不要な作業時間という物流コストが存在していることがあります。
長年おこなってきた業務フローを変えることは簡単なことではありませんが、意外にも身近なところに物流コストを削減するヒントが隠れているものです。
5.物流コストを削減する方法
裏側の時間にかかっているコストが、個社でもできる見直しのポイントになります。
1)単価を下げる(=生産性を上げる)
自社物流の場合の「単価を下げる」とは「生産性を上げる」ことなので、時間当たりの生産性の管理を徹底するという方法が考えられます。
▶ 業務フローを変える
▶ 作業手順を変える
▶ 外部の物流会社へアウトソーシングする
などの手法も一案です。
外部委託している場合は、契約料金単価を下げてもらうことになりますが、今のご時世では難しい交渉になると思います。
より安価な倉庫会社を求めていくこともありますが、サービスレベルの確認や移管後の業務フロー、システムフローの確認を怠ると、無駄な移管費用を支払うリスクが生じますので、しっかりとした要件定義の確認が必要になります。
2)業務フローを見直す
外部委託でも、業務フローや作業手順を変えることにより、物流コストを抑えることが可能になるケースがあります。
▶ 紙ベースの指示をデータ化することにより、人が介在する時間を省力化する
▶ 複雑な業務をシンプルにすることにより、誰でも対応できるように業務を標準化する
など、意外と身近なところに創意工夫をすることがあるかもしれません。
「これは何のために必要ですか?」という問いに対して「今までそうだったから」という回答をいただくことがあります。
業務フローの棚卸をすることで、物流コストを削減できる機会が生まれます。
6.まとめ|物流コスト削減の本質
これまで「物流コストとは?」について解説してきました。
物流コストを削減するためには、
- 物流コストの内訳を正しく理解すること
- 「時間」という目に見えない物流コストを認識すること
- 「単価を下げる」ことだけではなく、「業務フロー」を見直すことが大切であること
この3点をご理解いただければ幸いです。
表に出てこない部分にこそ、物流コスト削減の本質が隠れています。
参考資料:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「2024年度 物流コスト調査報告書【概要版】」
https://www1.logistics.or.jp/wp-content/uploads/2025/04/cost_report_20250428.pdf
ワタナベ流通の物流アウトソーシングは、高い在庫管理精度と入出荷品質、そしてお客様に合わせた物流提案、物流のカスタマイズ性の高いサービスを提供します。
物流コスト(単価)の勝負ではなく、これまでの物流フローや作業手順の棚卸のお手伝いをさせていただきながら、お客様と共に創意工夫しながら業務の効率化やコスト削減を最大化させる施策の提案が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。


