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物流コラム

在庫管理のやり方を解説 在庫管理の目的やメリット、効率化する方法も紹介

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在庫管理は、経営に欠かせない重要な業務です。

企業の在庫を管理し、最適な状態・量で供給することで、業務の改善を促します。

この記事では、40~50代の、物流改善を課題としている部長職や経営層の方に向けて在庫管理について詳しく解説します。

在庫管理の目的やメリット、注意点、在庫管理を効率化する方法も解説するので、自社の物流改善にお役立てください。

 

■目次

・在庫管理の「在庫」とは
・企業における在庫管理とは
・在庫管理の代表的な方式
  定期的に発注する「定期発注方式」
  毎回決まった量を発注する「定量発注方式」

・在庫管理の目的
  適正在庫でコスト削減
  顧客の満足度向上
  キャッシュフロー改善で売上増加
・在庫管理の重要性とは
・在庫管理を行うメリット
  生産性の向上
  余剰在庫の減少
  スペースの確保
・在庫管理のやり方
  現状分析を実施する
  適正在庫数を決める
  在庫の動きを可視化する
・在庫管理の大きな課題
  人為的なミス
  管理できる人員の確保
・在庫管理をシステム化して課題を解決
・在庫管理をシステム化するメリット
  業務の効率化
  ヒューマンエラー防止に役立つ
・在庫管理のやり方とコツ
  在庫の把握や現品管理が大切
  棚管理を徹底する
  リードタイムを短くする
  5Sを心掛ける
        標準動作の徹底
・在庫管理システム選びで注意するポイント
  必要な機能が搭載されているか確認する
  コストパフォーマンスがよいものを選ぶ
・在庫管理システム導入後の失敗例
  全体のフロー未確定のまま導入
  システムを使いこなせない
・まとめ

 

在庫管理の「在庫」とは
在庫とは、企業が保管している販売前の製品や商品、完成品などを意味します。製造業においては、部品や原材料、仕掛品も在庫です。将来的に現金に変化する可能性があるもの全てが、企業の「在庫」です。

 

 

企業における在庫管理とは
在庫管理は、企業の在庫を最適な状態や量で供給できるように管理する業務です。その役目を果たすため、計画を立てて実行し結果を基に改善を図る「PDCA」も求められます。PDCAとは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の頭文字を取った、業務改善を促す技法のことです。

在庫管理は、顧客や企業の健全な経営に欠かせない業務です。

 

 

在庫管理の代表的な方式
在庫管理には様々な方式があります。ここでは、「定期発注方式」と「定量発注方式」について解説します。

 

定期的に発注する「定期発注方式」
定期発注方式とは、決まったタイミングで必要な量を発注する方式です。発注時期が決まっているため、発注業務の効率化や経費コントロールができるメリットがあります。

急な需要の増加時には、在庫不足になる可能性があるため注意が必要です。

 

毎回決まった量を発注する「定量発注方式」
定量発注方式とは、在庫が一定量を下回った時点で決められた量を発注する方式です。あらかじめ発注する在庫量を決めます。発注の際に発注量計算をする必要が無いため、事務処理の効率化が図れます。

時期によって発注量が大きく変動する商品には向きません。

 

 

在庫管理の目的
企業の在庫管理は、業務を行う上でさまざまな利点があります。ここでは、在庫管理を行う目的を3点解説します。

 

適正在庫でコスト削減
在庫の抱え過ぎは不良在庫として無駄な費用が発生し、在庫不足は機会損失になる場合があります。

商品の仕入れや在庫の保管にも費用がかかります。商品が必要なときに、適切な場所へ丁度よい量を提供するためには、適正な状態・量での在庫維持が大切です。常に正しい在庫管理を行うことで、コスト削減につながります。

 

顧客の満足度向上
顧客が求めているときに商品を供給できるお店やサービスは、顧客の満足度が高めです。必要な在庫を保つことで納期が早くなり、より顧客の満足度を向上できます。

顧客の満足度向上はリピート利用や固定客の確保につながり、現在抱えている在庫を把握することで適切な対応ができます。適切な在庫管理は、顧客の満足度という観点で重要です。

 

キャッシュフロー改善で売上増加
経営には、ゆとりのあるキャッシュフローが必要不可欠です。過剰在庫による廃棄が生じると、仕入れ分の先行投資が回収できず、在庫を抱えるほど自由に使えるキャッシュは減ることになります。

在庫管理で適正な在庫量を把握し維持することは、キャッシュフローの改善や企業の利益の最大化につながります。

 

 

在庫管理の重要性とは
適正在庫の維持によって最小限の在庫で利益を出せるため、「保管する在庫量が少ないこと」に重要性があります。

商品や製品は、販売される事を待つ現金化予定のものです。在庫の保管期間が長くなると、商品の自然劣化(品質低下)を防げないことがあるため、保管期間が長くならないよう適正な在庫管理が必要です。

また、上記でもご説明しているように、在庫保管にはコストがかかりますので、「適正在庫」とその「適正在庫の水準をどうやってさげるのか」が重要なポイントとなります。

 

 

在庫管理をしっかり行うメリット
在庫管理をしっかり行うと、企業は多くのメリットが得られます。業務の改善につながる代表的なメリットを解説します。

 

生産性の向上
在庫管理の徹底は、生産性の向上にもつながります。

製品や商品の競争力は「品質、納期、コスト」で決まるといわれています。

業務における無駄な時間も減らせるので、納期が短縮され競争力も高まるでしょう。

 

余剰在庫の減少
在庫を増やしすぎて手元に現金が無くなる事態を防ぐためには、適切な在庫管理を行い、計画に基づいた在庫の準備が必要です。在庫を理解すると、余剰在庫は減少し資金繰りも安定します。

 

スペースの確保
在庫管理の手法として、製品や商品を保管する場所を決める方法があります。ロケーションを1か所にまとめることで、デッドスペースが有効活用できます。倉庫の整理整頓ができることも、大きなメリットです。

 

 

在庫管理のやり方
ここでは、在庫管理のやり方を解説します。実際に在庫管理を行う際や、自社の物流改善の参考にしてください。

 

現状分析を実施する
正しく在庫管理を行うためには、在庫と製品や商品の販売状況を把握することが重要なポイントです。

分析を正確に行うと、今後の発注時に必要な「需要の予測」や「正確な在庫量」を数値化できます。

在庫の分析方法には、優先度を設定して管理するABC分析(重点分析)、在庫回転率で売れ行きを確認する在庫回転率分析があります。

 

適正在庫数を決める
適正在庫数とは、最小限の在庫のことです。適正在庫数を決めると、適切な仕入れ数量や頻度を定められます。

業種や商品の種類によって、適切な決め方が異なるため、自社の物流状況や需要と合わせて考慮します。

 

在庫の動きを可視化する
出庫数や在庫数などのデータを見える化することで、適正在庫数が設定できます。担当者が複数名存在する場合でも、商品の数量やロケーションの認識が可能です。

作業効率を向上させるため、近年ではITツールである在庫管理システムを導入する企業が増加しています。

 

 

在庫管理の大きな課題
企業が在庫管理を行う際に抱える課題について、特に大きな課題を2点解説します。

 

人為的なミス
在庫管理で多いミスは、製品や商品、材料の数が重複しているデータを管理する際の二重入力です。

人の手により管理されている限り、いくら注意してもミスは発生します。大きなトラブルを未然に防ぐためにも対策が重要です。

人的な管理方法で行っている箇所を減らす、チェック箇所を増やすなど、様々な対策があります。

自社管理で在庫管理や倉庫管理を行っている場合は、倉庫見学会などに参加して、ヒントややり方を学ぶといった方法で改善する場合もあります。

 

管理できる人員の確保
在庫管理の方法や手順が統一化されていない環境は、担当者への管理依存が生じる場合が多くなります。

在庫管理の属人化があると、在庫管理は効率的に行えません。担当者によって、同じ作業でも手順が異なるケースもあります。作業手順の標準化が必要です。

人員の確保と作業の標準化は同時に進める必要があります。

いくら人員を豊富に確保できる状況でも、作業が複雑で特定の人しか対応できないような業務の場合、人員がいても生かしきれません。

特に、季節波動の大きい業務などは、積極的に業務の標準化を進めましょう。

 

 

在庫管理をシステム化して課題を解決
人為的なミスを減らすには、正確な在庫管理ができる在庫管理システムの導入が効果的です。

システム化することで、リアルタイムに出荷状況や受発注データなどを確認できます。常に適正な在庫数を保つことが可能になるため、無駄な時間の短縮や人的コストの削減にもつながります。在庫管理のシステム化は、多くの課題を解決します。

在庫管理システム導入にあたっては、自社商材や商流などと相性の良いシステムを選ぶことが必要です。

 

 

在庫管理をシステム化するメリット
在庫管理のシステム化は、課題の解決だけでなくメリットにもつながります。企業が得られるメリットを解説します。

 

業務の効率化
在庫管理システムを導入すると、データのリアルタイム性が向上し、信頼性の高いデータを常に提供・共有できます。

リアルタイムに在庫状況の確認ができると、容易に在庫量をコントロール可能です。業務を⼀元管理することで、効率化につながります。

 

ヒューマンエラー防止に役立つ
バーコードを併用した在庫管理システムを活用すれば、手書きや目視確認によるミスが減り、高精度の在庫管理が実現可能です。

在庫管理を手書きで行うと、見間違えや書き間違えが発生する場合があります。(削除)ヒューマンエラーの防止は、手間や時間の削減だけでなく、作業精度の向上も期待できます。

 

 

在庫管理のやり方とコツ
在庫管理を適切に行うためのコツとはなんでしょう。ここでは、在庫管理のやり方と併せて解説します。

 

在庫の把握や現品管理が大切
適切な在庫管理を行うためには、まずは現物をきちんと扱えるようになることが重要です。

出庫や入庫など在庫管理だけではなく、商品を流通させる場面では、業務フローや作業方法などをきちんと決めておくことが重要です。

「人によってやり方が違う」などとなってしまえば、クレームにつながるケースもありますし、何より在庫管理の品質を保つことが非常に難しくなります。

 

棚管理を徹底する
在庫管理で必ず行う作業が棚管理です。棚管理を徹底するには、在庫を決まった場所に置くことがコツです。

決まった場所に在庫がないと、棚卸しの際に、数え間違いや商品の紛失などのミスにつながり、在庫を探す時間や手間もかかります。

 

リードタイムを短くする
リードタイムとは「発注から納品」または「製品の生産開始から完成」にかかる日数です。

リードタイムを短くするためには、縮工程や納品経路、物流とその時間を把握することがポイントです。時間を把握することで、入荷と出荷の調整が可能になります。

 

5Sを心掛ける
3Sとは「整理・整頓・清潔・清掃・躾」の総称です。

適切な在庫管理のためには5Sを心掛け、目の届かない場所ほど徹底しましょう。

多くの在庫がある倉庫でどこに何があるか把握できない場合、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。

 

基本動作の徹底

基本動作とは、業務フローなどから定められた標準化された作業方法です。作業者なら誰でも出来る誰でも出来なくてはならない作業方法です。

物流現場などでも指差し確認など、基本動作が定められている作業があります。

「指差し確認なんて、確認できているからやらなくて大丈夫」と思うことがあります。

しかし、少しのズレから全体の在庫誤差やミス事故が生まれます。

クレームの少ない、ミス事故の少ない現場と言うのは、基本動作やルールがきちんと定められており、その基本動作をきちんと守っている現場です。

 

 

在庫管理システム選びで注意するポイント
在庫管理システムは種類が豊富です。ここでは、在庫管理システムを選ぶ際に注意するポイントを解説します。

 

必要な機能が搭載されているか確認する
在庫管理システムは、必要な機能が搭載されているかの確認が重要です。

食品を扱う場合は消費期限管理や先入れ先出しができる機能が必要です。アパレルはサイズや色などを同じ商品コードでも管理できる機能、電化製品は不良品対策としてロット管理が(ロット番号での別の管理)できる機能など、商材に合わせたシステムを選びましょう。

 

コストパフォーマンスがよいものを選ぶ
在庫管理システムは、導入から運用にかかるコストが予算内に収まっているものを選ぶ必要があります。サービス内容や機能によって価格が異なるため、事前にコストと費用対効果が見合うかどうか検討することがポイントです。

 

在庫管理システム導入後の失敗例
在庫管理システムを導入しても、適切に使えないと意味がありません。ここでは、導入後の失敗例を紹介します。

 

全体のフロー未確定のまま導入
在庫管理は販売フローの1つです。便利な在庫管理システムですが、販売フロー全体を見て調整しながら導入することが重要です。

無視すると適切に運用できず失敗につながります。全体のフローにも影響が出るため、慎重に行う必要があります。

 

システムを使いこなせない
業務効率化のため在庫管理システムを導入しても、使いこなせないという失敗があります。

事前計画の不備で、十分なカスタマイズが行われていないと、必要な作業ができなかったり不必要な作業を強いられる場合があります。

 

 

まとめ
在庫管理をしっかり行うと業務の改善が促進され、コスト削減や顧客の満足度向上などのメリットが生まれます。在庫管理の業務は、顧客や企業の健全な経営に欠かせません。

 

在庫管理の適正化には、倉庫内のミスや事故が起こらない環境(教育)や、風土を作ることが最も重要です。

「ミスや在庫誤差などが起こっても仕方ない」という風土になってしまうと、改善意識や発生時の報告の迅速性などに問題が起こる場合が多くなります。

特に自社管理の場合は、風土形成に力点を置いて運営を行うと成功につながります。

「ウチは特殊だから…」というお話をよく聞きます。確かにその通りも場合もありますが、弊社をはじめとした物流会社もいろいろな企業様の特殊な事例をお聞きしています。

特殊な場合でも他のお客様の事例や過去事例の対応方法など、過去の実績からご提案出来るケースもあります。

是非、お気軽にご相談頂けましたら幸いです。

 

ワタナベ流通では、多品種小ロット管理や品質重視など、お客様に合わせた物流を提案しています。

倉庫見学も行っているので、在庫管理の適正化や物流改善を考えている企業様、ご担当者様はお気軽にお問合せください。

 

 

倉庫見学の申し込み・お問い合わせ

 

この記事の執筆者:

株式会社ワタナベ流通

営業部 市川 文平

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